全国友の会について
羽仁吉一、もと子夫妻によって雑誌「婦人之友」(1903年創刊時は「家庭の友」)が創刊され、その愛読者から、親しい集まりを持ちたいとの願いが寄せられました。それを受けて、「婦人之友」1919年1月号の誌上で、「読者組合組織」が提議され、2月に「読者組合」が誕生しました。当時の封建的な社会の中で孤立していた女性たちが婦人之友を通して友情を育み、互いの能力を生かし成長したいと願いました。1927年に、羽仁もと子は「読者組合」を改め、全国に「友の会」の設立を呼びかけました。家庭生活を出発点として、社会に広く女性の力を及ぼして行こうと、家事家計、子どもの教育、健康、その他すべての家庭生活の充実向上を、協力して研究し、励ましあって実行を務める友の会が次々に誕生していきました。1930年11月、全国から友の会の代表が集まり、第1回全国友の会大会が開かれ、友の会決議文が読み上げられました。この時の友の会は全国に39、会員数は約1,000人でした。
決議文
- 一、私どもは家庭における封建的・個人主義的の気風を清算して、愛・自由・協力による新家庭精神の樹立に努力します。
- 一、私どもは志を同じうする女性の団結によって、愛・自由・協力による新社会の建設に努力します。
- 一、私どもはこのために各人の有する機会、才能及び労力を惜しみなく献げんことを約束します。
2024年度現在、国内に173、海外に8。会員数は13,500人です。それぞれの友の会は独立した組織、経済を持ち、それぞれの場所で、培った力を生かして、友愛セール、講習会、親子の集まり、時に応じた災害救援や公共奉仕の活動など、地域に根差した活動を続けています。全国には活動の拠点として123の友の家があります。友の家は公益財団法人全国友の会振興財団が所有し、維持管理をしています。
羽仁もと子について
婦人之友社、自由学園、友の会の三団体の創立者。1873年(明治6)青森県八戸に、旧南部藩士松岡家の長女として生まれる。(八戸市には1991年に羽仁もと子記念館が建設された)16歳で上京し、東京府立第一高等女学校に入学。翌年築地明石町教会で洗礼を受ける。キリスト教主義による明治女学校高等科に、「女学雑誌」の校正の仕事をしながら学ぶ。帰郷して尋常小学校や盛岡女学校の教員をし、その後結婚するが、まもなく離婚。1897年(明治30年)再度上京し、報知社(現・報知新聞社)に職を得、日本で初めての女性ジャーナリストとなった。1901年(明治34年)羽仁吉一と結婚。二人は健全な家庭の成長を願い雑誌「家庭之友」(後に「婦人之友」と改題)を創刊。家計簿、主婦日記を創案、予定と予算で筋道の立った生活を広める。生活力を高め、家庭経営で培った女性の力を平和で豊かな社会の建設に向けることを誌上から呼びかけ続けた。その思想に賛同する愛読者によって各地に友の会が生まれた。1930年(昭和5年)友の会の代表が集まって、羽仁もと子を中心に「全国友の会」を設立。新社会の建設のために惜しみなく力を出すことを決議した。友の会の成長と共に三団体の特性を活かし、農村生活改善運動、北京生活学校、終戦後の引き揚げ者援護事業、各種展覧会や講習会の開催など、社会へ向けた様々な事業を展開。1957年(昭和32年)逝去。
友の会の活動
会員の集まり友の会の中での集まりは、小さなお子さん連れで参加できます
最寄会 | 住まいの近い会員の集まりです。羽仁もと子著作集を読み、身近な生活を(衣、食、住、家計、子どものことなど)題材に学び、交流を深めていく家庭的な集まりです。 |
---|---|
例会 | 各地友の会で会員が一堂に会する集まりです。羽仁もと子著作集の読書、最寄会や身近でしている生活勉強の発表、活動の報告などをして、会員同士のつながりを深める交流の場です。 |
全国友の会大会 | 年に1度、全国各地の友の会から代表が集まり、活動報告をし、今後の方針と展望を協議します。 |
全国生活研究会 | 各地友の会で生活に根ざした衣、食、住、家計、子どものことなどの研究をし、自然環境のことも含めた真の生活合理化を考えていきます。友の会での研究や成果を持ち寄り、「全国生活研究会」「全国子ども研究会」「全国家計研究会」「全国農村愛土生活研究会」など 全国規模の研究会を行い、更に研鑽を重ね社会に発信します。 |
部の活動 | 全国の10の部では地域の近い部の中の友の会が集まり、部会、研究会などを行っています。 |
講習会 講演会 コンサートなど各地友の会で企画、開催します
生活講習 | 料理・洋裁・洗濯・編物・掃除・整理収納・工芸などの講習会を行います。初心者、男性、若い家庭向けの生活の基礎講習もあります。 |
---|---|
家事家計講習会 | 毎秋全国一斉に、開催しています。会員が日々勉強している事を内容にして、各地域で講習します。会員の生活を通して、予定と予算のある家計簿を紹介しています。 |
子どものすこやかな成長を祈って
こどもと親の集まり | 若い家庭と、乳幼児から高校生までの子どもたちに働きかける活動をしています。乳幼児グループ、小学生の集まり、2015年からの「おさなご発見U6ひろば」活動など、様々な集まりを行っています。 |
---|
地域とともに
友愛セール | 会員の手作りの食品、生活の中から生まれた暮らしに役立つ製作品、手作りおもちゃ、手入の行き届いたリサイクル品などの販売をします。創立当初より、地域との交流、物の命を大切にとの願いから「友愛セール」と名づけています。 |
---|---|
公共活動 | 地域との交流、イベントの参加。施設へ食事作り、配食、衣類整理など協力します。災害時には、友の家の開放、物資の提供、被災地との交流などの協力活動をします。社会福祉活動を行っている団体へ支援協力します。詳しくは「公共活動」のページをご覧ください。 |
友の会のあゆみ
1930年(昭和5年)全国から30友の会の代表が東京に集まり、第1回大会が開かれ、全国友の会が成立しました。翌1931年、全国友の会で主催する初めての大規模な事業である「家庭生活合理化展覧会」を東京目白の自由学園を会場に開催。働きかけつつ成長する友の会が歩み始めました。
1903年(明治36) | − |
|
---|---|---|
1908年(明治41) | − |
|
1921年(大正10) | − |
|
1923年(大正12) | − |
|
1927年(昭和2) | − |
|
1930年(昭和5) | 会員数約1,000人 |
|
1931年~ | − |
|
1933年(昭和8) | 会員数4,450人 |
|
1935(昭和10) | 会員数5,942人 |
|
1937年(昭和12) | 会員数5,995人 |
|
1938年(昭和13) | 会員数6,101人 |
|
1940年(昭和15) | 会員数7,918人 |
|
1946年(昭和21) | 会員数不明 |
|
1949年(昭和24) | 会員数8,452人 |
|
1950年(昭和25) | 会員数9,152人 |
|
1955年(昭和30) | 会員数12,833人 |
|
1957年(昭和32) | 会員数14,105人 |
|
1959年(昭和34) | 会員数15,587人 |
|
1960年(昭和35) | 会員数16,238人 |
|
1963年(昭和38) | 会員数17,884人 |
|
1973年(昭和48) | 会員数25,517人 |
|
1975年(昭和50) | 会員数27,963人 |
|
1984年(昭和59) | 会員数31,420人 |
|
1995年(平成7) | 会員数27,646人 |
|
2011年(平成23) | 会員数20,551人 |
|
2015年(平成27) | 会員数18,852人 |
|
2024年現在 20代から100歳代の約13,500人の会員が手を携えて、社会に働きかけつつ歩みつづけています。