登りつつある間に感ずるところの坂みちと、遠く見る富士の眺めと、
それはこの人生も同じことです。
何のために多くの人が生まれて死ぬのか、一人一人を近々と見ていれば、
他愛もなく果敢ないものに見えたりするのに、
永遠にわたって形づくられる人生を眺めてゆくと、実に貴い美しいものです。
私たちが自覚して、その中の一分子として希望(のぞみ)をもって生きるならば、
古今東西を通ずる大いなる人生とともに、
個々の生命の永生も保証され祝福されていることを明らかに知ることが出来ます。
羽仁もと子著作集 真理のかがやき「三十五年の感謝」より