ときどき私たちは、親の希いや都合を先にして、彼らを導こうとしていることに心づく。(中略)
生きる力の強弱は、またあらゆる生命の根本である。
身体も精神(こころ)も霊性(たましい)も活発であるかどう
かは、人を診察する医者が、まずわれわれの脈をとることを何よりも先にすると
同じように、いつでも幼児を見守るものの第一条件として、たえず気がついてい
なくてはならないことである。やや極端にいえば身体と精神と霊性と、この三つ
を含む活力を強くしてやりさえすれば、そのほかのことは何もいらないと思って
もよいほどである。 羽仁もと子著作集 教育三十年「たましいの教育」より